アメリカで仕事の面接時、marital statusを聞かれるのは違法か?

今回は、仕事の面接においての、前に投稿した違法な質問への答え方、かわした方の記事への追記と、ちょっと深掘りです。

アメリカと一言で言っても、全部で50州もあり、それぞれに州法が存在し、内容によってはまるで別の国のように法律が違ったりします。私が住んでいるカリフォルニアでは、色々な法律が他の州よりもとても厳しいので有名です(苦笑)。

前回の記事では、ジョブインタビューでmarital status(婚姻状況)を聞くのは違法だと大雑把に記述したのですが、それを少し補足するとともに、アメリカで仕事をする、日本国内で米系企業に就職する際に、みなさんがどこまで法律によって守られているのか、頭に入れておいた方が良いことをまとめます。

marital statusとは

まず、おさらいですが、marital statusとは、日本語では「婚姻歴」、「配偶者有無」などと訳されている場合が多いです。英語で個人情報をフォームに記入するような場合、選択肢から○で囲むケースが多く、そこに用意されているものは大体「既婚、未婚、離婚、死別」ですので、「配偶者有無」よりは「婚姻状況」が適当な表現かもしれません。

あくまで現在の婚姻の状況ですので、日本ではまだですが、アメリカでは同性婚が認められている州もたくさんあるので、当然ですが男女の婚姻とは限りません。

ここで、個人の経験からの余談を追加しますが、私がこちら(カリフォルニア州)で前に勤めていた某大手ハイテク企業では、同性婚の人達はもちろんのこと、正式に婚姻届を出していない色々なカップル(色々な組み合わせがあるので、あえて色々なと書かせて下さい 🙂 )が、異性婚の婚姻届を出しているカップルと全く同等のベネフィット、福利厚生を受けていました。具体的に言うと、家族控除、配偶者控除、健康保険や産休、忌引などを含めて全てです。

婚姻届を出していないカップルは、日本風に言うと籍を入れていないカップルという意味で、ドメスティックパートナーと言います。アメリカに戸籍はありませんので、婚姻届を出していないということになります。日本でいう事実婚と同じ位置づけだと思うのですが、ここカリフォルニア州では婚姻しているカップルと、していないカップルは同じという認識です。

アメリカで仕事の面接の際に、marital statusを聞かれるのは違法ですか?

アメリカでは、雇用に関する差別を防ぐために、さまざまな法律が存在します。その一環として、雇用機会均等法(Equal Employment Opportunity Law)や市民権法(Civil Rights Act)などがあります。これらの法律によって、人種、宗教、性別、国籍、年齢、障害、妊娠、軍歴などの特定のカテゴリーに基づく雇用差別が違法とされています。

つまり、すごく簡単に言うと、妊娠8ヶ月でも、トランスジェンダーでも、アメリカ人であろうとなかろうと、同性婚をしていても、どんなカルトを信じていようと、雇用差別をしてはいけない!!ということです。

特定のカテゴリーに基づく、とあるので、そのことによって業務を遂行できない場合もあるので、もちろん例外はありますが、今は関係ないので細かく触れません。そして、これは連邦法なので、アメリカ合衆国という国において、連邦法は各州の法律を超えて優先される原則が存在します。ちなみに、これは「連邦法の優越性」(Supremacy Clause)と言います。

さて、ここで前回の補足なのですが、アメリカの連邦法では、婚姻状況(marital status)に関しては直接的な保護はされていません。そのため、雇用の面接で結婚の有無を聞かれること自体は、州によっては法的には問題ない可能性があります。
もちろん、まともな企業人であれば、そんな質問をしないことは一般常識としては確立しています。

ただし、結婚の有無に関する情報を基にして雇用判断を行うことが、間接的に性別や家族の状況に基づく差別と結びつく可能性がある場合、それは違法です。また、一部の州や地域では、結婚の有無に関する差別を禁止する法律が存在する場合もあります。

具体的な雇用差別の問題に関しては、連邦法や州法、地域法などの詳細な規定を場所によって確認することが重要なので、前回の記事ではアメリカでは、、と簡潔にまとめすぎてしまったので、ここで補足させていただきました。

雇用面接の際に不適切な質問がある場合、就業機会均等委員会(Equal Employment Opportunity Commission, EEOC)という機関があり、相談することができます。日本で言えば、よくひろゆきさんが言っている(笑)労働基準監督署のようなところでしょうか。

したがって、結婚の有無に関する質問が雇用面接でされる場合、その文脈によっては法的な問題が発生する可能性があるため、企業側は大変注意が必要です。

そして、もしも面接官からそんな質問をされた場合の答え方は、違法な質問への答え方、かわした方の記事をぜひ参考になさってください。

カリフォルニアでは、、、

補足と深掘りはここまでですが、自分の住んでいるカリフォルニアではどうだろうか?と思ったので、わかったことをおまけで載せておきます。アメリカは広いと頭でわかっていても、ついつい自分の周りを基準に考えすぎてしまいますので。

カリフォルニア州は、一般的に雇用に関する差別を防ぐための法律が厳格で、連邦法よりも広範な保護を提供することが知られています。

カリフォルニア州においても、結婚の有無を含むあらゆる種類の差別を禁止する法律が存在します。

カリフォルニア州の労働者の権利を保護する法律には、以下のようなものがあります。

  1. カリフォルニア州労働者の平等賃金法(California Equal Pay Act): 男女の報酬差別を禁止し、同じ仕事に対して同じ賃金を支払うことを求めています。結婚の有無に基づいて報酬を決定することは違法です。
  2. カリフォルニア州労働者の権利法(California Labor Code): この法律には、人種、宗教、性別、性的指向、家族の状況、妊娠、障害、軍歴などに基づく雇用差別を禁止する規定が含まれています。結婚の有無に基づく差別も含まれます。

つまり、カリフォルニア州においても、雇用面接で結婚の有無に関する質問が行われる場合、これが直接または間接的に差別と結びつく場合には、法的な問題が発生するということになります。

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